創業融資を失敗しない為の記事


考えなしの会社設立の落とし穴


平成17年6月29日第162回国会において新会社法が成立しました。   

今回の改正では、これまでの商法、有限会社法、監査特例法を一つの法律に整理統合し条文を口語体に改めた他に、これまでになかった制度が多数取り込まれて、従来の会社のイメージを一新するものとなりました。

それでは、これにより会社設立後の融資は、どう変わったのでしょうか?

 

融資のための設立手続きのポイント


1.新創業融資を利用する際の「自己資金」不足が問題となりやすくなります。

これまでは最低資本額の制約があり、一定規模以下の会社を作るためには特例措置を受けることが必要でしたが、今後は、資本金1円以上で会社の設立をすることができるようになりました。

しかし、日本政策金融公庫の「新創業融資」を受けようとする場合には、
         「 事業にかかる総費用の1/3以上の自己資金 」
が必要となります。

そのため、過小な資本で設立をした場合には、希望額の融資を受けにくくなるという問題が生じます。


2.「債務超過」へ転落する可能性が拡大します。

資本が過小である場合には、事業開始後にわずかな赤字でも、決算内容がすぐに債務超過状態となってしまいます。

そのため、このような場合には増資などをして資本額を増やさないと、金融機関からの融資を受けられなくなってしまいます。


3.安易に事業目的の決定をすると融資を受けられない場合があります。

今回の改正により、これまで厳格に行われてきた設立登記の際の事業目的の審査が大幅に緩和されました。

これにより現在では、違法な内容のものやあまりに抽象的なもの以外ならば、簡単に事業目的を登記することができるようになっています。

しかし、会社法の改正が行われたからといって、金融機関での融資の審査基準までもが変わったわけではありません。

そのため、「設立ができればよい」くらいの安易な考えで事業目的や、組織内容の決定をした結果、それが原因で融資がでないという事態が生じています。

このように登記手続きの緩和と融資要件や審査のポイントとは別物なので、会社の設立後にシッカリと融資を受けたいのならば、十分に融資のことも考えた設立手続きが必要となります。


4.自己資金を増やすためには、事前に現物出資の計画も必要。

新創業融資など一定割合の自己資金が必要となる融資を申し込む場合に、肝心の自己資金が少ないため十分な融資を受けられないというケースがあります。

このような場合には、「現物出資」の方法により資本額を増やすという手段が有効となります。


しかし、会社設立後にこの現物出資をしようとすると余計な時間と手続きのやり直しのための費用がかかってしまいます。

そのため、現物出資をする際には、希望する融資額と手持ちの自己資金のバランスを考えながら手続きを進めていくことが必要となります。


5.代表者に問題がないかの確認。

会社の設立手続きでは、基本的に誰であっても代表取締役となることができますが、融資の際には、代表取締役となった人について連帯保証を求められるのが普通です。

そのため、単純に出資額が多いという理由だけで、過去に金融事故を起こしている方や、すでに別会社で代表者になっている方を代表取締役にした場合には、それが原因で融資がでないことがあります。

以上のように融資を受けられる会社を作りたいのならば、最低でも「金(自己金)」、「目的」、「人」の3点に注意する必要があります。

日時:2009年12月24日 16:52