創業融資に失敗しないための会社設立の注意点 (その3 資本金について)
見せ金がばれる理由
よく自己資金が少ない場合などには、一時的に他から用立ててきた資金を通帳に入れ、これを自己資金として見せようとする方がいます。
このような行為を「見せ金」と言います。
これによって、登記簿上の資本金を大きくすることができれば、その分申し込むことができる融資額も大きくなるので、つい、してしまいたいと思うのはわかるのですが、残念ながらたいていの場合には見破られてしまいます。
なぜなら、金融機関側ではこのようなケースを想定して、その入金された金額についての裏付けを求めるからです。
具体例を挙げて説明します。
たとえば、あなたがノンバンクを利用して一時的に300万円の資本金を用意したとします。
確かに、単に登記簿上の資本金を大きくしたいだけならば、このやり方でも特に問題なくできますし、それなりの会社を作ることが可能です。
しかし、融資審査の際には、それだけでは済みません。
なぜなら、会社の登記簿と通帳だけでその資本金の有無を確認するだけではなく、必ず、その資本金の元となった代表者個人の通帳を確認して、その資本金がどのようにして作られたかの確認を行うからです。
その際には、個人の通帳には300万円という金額がいっぺんに振り込まれているわけですが、その出所をさらに追求されれば、合理的な説明はできないはずです。
このようなわけでその資本金が実態のない見せ金であるということがばれてしまうわけですが、もし、これを「手元にあった現金を入金したもの」と弁明した場合にはどうなるでしょうか?
残念ながら、このようなケースでは、たとえそれが事実であったとしても正当な自己資金とは認めてもらえません。
つまり、何らかの資料や証拠などでそれが事実であるということを決定的に認めさせることができない限り、そのお金はやはり「疑わしいもの」として見られてしまうのです。
では、そのお金を「親からもらったもの」とした場合には、その説明は通るでしょうか?
答えは△です。
原則として、親などから贈与された資金はこれを自己資金として認めてもらえることになっています。
しかし、この場合には、その親本人に対して電話でその確認がされる他、場合によってはこれを正式に資本金に振り替えてくれといわれる場合もあります。
また、その親の通帳についても確認がされることもあります。
このようなわけで、これらの手続きがキチンとできる方については原則OKなのですが、これを自己資金として認めてもらえるかは微妙な場合もあるので、結果的には△ということになります。
なお、見せ金を利用して、もし、これがばれた場合ですが、当然、その申し込んだ融資は認められないだけでなく、そのようなことをした経歴がその金融機関に残るため、しばらくの間はその後の審査結果に非常に大きなマイナスとなります。
ですので、このくらいの覚悟ができていない方は、うかつに見せ金などを利用しないようにしてください。