創業融資に失敗しないための会社設立の注意点 (その1 資本金について)
資本金とその準備の仕方
今回は、「創業融資に失敗しないための会社設立の注意点」その1として、<資本金とその準備の仕方>についてご説明いたします。
まず、会社を作るには、事業の元となる「資本金」が必要です。
そして、これを用意して登記(発起設立)をするまでの流れは、以下のとおりとなります。
① 発起人の個人の通帳から、各々の出資割合に応じた金額を代表者となるべき発起人の個人通帳に振り替える。
② 集められた出資金(=資本金のもと)について代表者が「払い込みがあったことの証明書」と「資本金の計上に関する証明書」を作成する。
※ 募集設立の場合には「払い込みがあったことの証明書」に代え、金融機関発行の払込金保管証明書を添付する。
③ ②の書類に代表者の個人通帳の写しを貼り付けて、押印する。
④ 登記申請書と他の必要書類とを綴って、法務局に提出する。
⑤ 登記完了後に会社名義の通帳を作り、代表者の通帳に集めた資本金を会社通帳に移し替える。
設立登記の申請だけを考えた場合の手続きとしては以上のとおりですが、ここで考えなければならないのは「資本金と融資」の関係です。
現在では、会社法の施行により極端なことをいえば1円以上ならば資本金の額はいくらで
もかまいません。
そのため中には、1万円や10万円などの過少な資本金で設立される方も増えています。
しかし、もし、この方が日本政策金融公庫などで無担保無保証の新創業融資を受けようとしたならば、どうなるでしょう?
新創業融資では、融資額は自己資金(ここでは「資本金」)の2倍までしか融資しないという厳格な要件があります。
そのため、仮に10万円で会社を作った場合で、それ以外に特に会社財産となるべきものがなければ、この人は20万円しか融資を受けられないということになってしまいます。
いくら経費のかからない事業を行っていくとしても、これでは話にならないのはお分かりになるでしょう。
このように、あとあと自己資金の条件のついている融資を狙う場合には、設立の時点でその後の借入額に見合った資本金を用意しないと「箸にも、棒にもかからない」ということになってしまいます。
しかし、日本政策金融公庫の新創業融資を申し込む際に、手持ちの現預金が少ないからといって、絶対に希望額の融資が受けられないというわけでもありません。
実は、そんな方でも合法的に自己資金を増やす方法があるのです。
そこで次回は、自己資金の増やし方についてお話します。