起業家へ追い風?
「起業する」と皆さんが口にされた際に、「とんでもない」「そんな危ないことをするな」と言われた経験のある方も多いのではないでしょうか。
事業に失敗したら全財産を失う!というのがその理由でしょう。
資本金や事業資金の調達においては、金融機関に対して経営者が個人保証を行うことが慣行でした。また親族から資金を調達したり、親族が連帯保証人となっているケースも多いことでしょう。このような場合では、事業が破綻するなどして債務の返済が滞り、最終的に破産手続等に至れば、会社財産の精算のみならず経営者個人の自己破産を招くことになります。経営者は多くの財産を失うばかりでなく、その影響は親族にも及びます。日本の法制度で一度失敗してしまうと「再チャレンジ」できなくなると言われる所以です。
しかし、この保証制度について近いうちに法律が改正される方向です。法務省諮問機関の法制審議会で検討されている民法の法改正によれば、今後は経営者の個人保証を制限すること及び経営者の親族等のいわゆる第三者の個人保証を廃止する方向で検討が行われています。これにより経営者の負担・不安は軽減されると期待されています。
また、一方で政府の規制改革会議では、証券市場活性化のための日本版JOBS法の導入が検討されています。これまでは企業が株式上場を検討する場合に、内部統制報告書や財務諸表の作成等に時間と費用がかかることから、上場を躊躇する企業もありました。
会議では、内部統制報告書の内容を簡略化することや財務諸表の提出年数分を削減することが検討されております。これにより上場する企業が増加し株式市場が活性化することが期待されております。
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事業創造大学院大学 准教授 佐藤光歳